なぜトレイルレースで胃の調子がおかしくなるのか

これまで、ロードレースでは常にジェルで栄養補給してきました。

2回も補給するとジェル特有の甘ったるさで胃がむかむかし、ドリンクさえも受け付けないようになったことも1度や2度ではありません。

ロードを自己ベスト近いペースで走る場合は心拍数も高く、消化器官にまわる血液が不足してしまいます。そのため、消化の負担がないジェルにたよる理由もわかります。

しかし、トレイルレースではそれほど胃腸に負荷がかかるでしょうか。心拍数もロードより抑えめですし、内臓を激しく上下動させて走るような人は一部のトップ選手に限られるでしょう。

にもかかわらず多くのランナーがロードよりも遅いトレイルレースでジェルに頼り、ザック内に数kgにもおよぶジェルを詰め、その結果胃腸の不具合でリタイヤしています。ジェルは1個数百円、1レースで1万円近く出費する人も珍しくありません。その貴重なジェルを山中でゲーゲー吐きくだす。はっきり言って資源と金のムダ。ジェルメーカーをよろこばせているだけではないでしょうか。

私は、少なくとも胃酸過多系の日本人にとってトレランでのジェルは百害あって一利なしだと思います。

その理由として、私は次のような仮説を立てています。
ジェルは咀嚼がほとんど必要無く、摂取後すぐに胃をスルーして小腸に移動します。ところが、人間はそのような消化の良い食品になれていません。ジェルを摂った瞬間に、消化しようと胃液を分泌します。胃液が胃の内部・胃壁を満たした瞬間、ジェルは既に胃の中を通り過ぎています。その結果胃は純度100%の胃液にさらされ、荒れることになります。これがトレランレースに顕著な胃痛の原因だと思います。

同じようなメカニズムはロードでも起きますが、所要時間が短いためそれほど問題にならないのだと思います。トレランのレースではジェル→胃液曝露→胃壁ダメージが繰り返され、ロングレースほどそのダメージが深刻になります。
その証拠の1つが、レースの胃痛には単なる胃薬ではなくガスター10などのH2ブロッカーが効くとされていることではないでしょうか。H2ブロッカーは胃液の分泌を抑える薬です。問題は、ジェルによって分泌される過剰な胃液なのです。

ジェルは確かに消化吸収がよいのですが、消化吸収がよいことが胃腸にとって優しいとは限らないのです。むしろ、胃液の影響を緩和するくらいに、胃の中に残留してくれる固形物の方がトレランには向いています。

私は先日の上州武尊山で一切のジェルをとらず、和菓子やバナナなどの固形物をとりました。一般には消化がよいとはいえないでしょうが、胃腸のトラブルはゼロ。山中でゲーゲーしてる選手を見ては気の毒になったものです。

ロングレースで胃腸のトラブルに悩んでいる方々、ジェルをやめて固形物による補給を試してみませんか?


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